上皇陛下におかれては、去る9月3日、記録の確かな歴代天皇
(およそ推古天皇〔第33代〕以降)の中で最長寿となられた
(3万2千32日)。心からお祝いを申し上げる。
これまで最長寿だったのは昭和天皇(第124代)。
昭和天皇は、昭和60年7月13日にご誕生より3万757日を迎えられ、
それまで最長寿だった江戸時代の後水尾天皇(第108代)より
長寿となられている。その前日には次のような報道があった。
「歴代天皇の中で最長寿となられた天皇陛下(昭和天皇)は
『いつの間にか、こうなった。大したことではない』と淡々とされている。
…今年(昭和60年)4月、誕生日を前にした宮内記者会との会見では
『数字的な年齢で昔のひとと比べるのは難しい。
今は医学が発達しているが、後水尾天皇は環境が
お悪かったにもかかわらずご長寿となった。
私どもは感激もし、学ばなければならないと思います』…『後水尾天皇は素質に加え、多方面にわたって学問、和歌、書など
幅広い趣味を持たれ、気力がすぐれていらした。…』」
(朝日新聞、昭和60年7月12日付)後水尾天皇については、拙著『日本の10大天皇』(幻冬舎新書)で、
昭和天皇と共に取り上げている。『昭和天皇実録』の記事も引用しておく。
「この日(昭和60年7月12日)、御誕生よりの日数が3万756日となり、
第108代後水尾天皇と並ばれる。
ただし天皇(昭和天皇)の御意向もあり、祝賀等の御長寿を祝う行事は
行わないこととされる。
なお、翌13日の吹上御所での御昼餐に際しては、
侍従長始め侍従・女官・侍医等20名より鰻重の献上をお受けになり、
皇后と共に一同に御相伴を仰せ付けられる」昭和天皇ご自身が祝賀行事を辞退される「御意向」だった為に、
側近に仕える侍従らがポケットマネーを出し合って、
昭和天皇の好物だった鰻重を差し上げただけという、
まことにささやかなお祝いの仕方だった。上皇陛下は当日をどのようにお過ごしになられただろうか。
上皇陛下が末永くお健やかに、心穏やかにお暮らし下さることを
切に祈り上げる。しかし、上皇陛下に真にご安心戴く為には、1日も早く、
皇位の安定継承への道筋をお示しすることが、
どうしても欠かせないだろう。
非力ながら、そこに力を注ぎたい。【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
BLOGブログ